親の介護や生活支援のために、長年同居してきた子がいるご家庭では、「同居していた子に多く相続させたい」「他の兄弟とは分け方を変えたい」と考える方が少なくありません。
しかし、法定相続の原則を踏まえつつ、どう配慮するかは注意が必要です。本記事では、同居していた子に相続を集中させる方法や注意点を解説します。
同居していた子だけに相続させることはできる？
親と一緒に暮らしてた長男だけが相続するってこと、できるの？
法定相続分を無視して一人にすべて相続させるには、遺言書の作成が必要です。
遺産分割は、相続人全員で協議して決めるのが原則です。特定の子どもにすべてを相続させたい場合は、遺言書を作成することで対応できます。ただし、他の相続人の「遺留分」に注意が必要です。
介護をした子に多めに分けることは可能？
介護を頑張ってた姉に、多めに分けてあげたいんだけど、それってできるの？
他の相続人が同意すれば可能ですし、「寄与分」として多めに評価されることもありますよ。
介護や看病などによって被相続人の財産維持や増加に貢献した場合、「寄与分」として他の相続人より多く相続できる可能性があります。これは遺産分割協議や家庭裁判所の判断で認められます。
遺留分に注意しよう
でも、他の兄弟が文句言ってきたらどうなるの？
法定相続人には最低限の取り分「遺留分」があります。これを侵害するとトラブルになります。
たとえ遺言書で「すべてを長男に」と記されていても、他の兄弟姉妹には遺留分（通常は法定相続分の1/2）があります。これを侵害された場合、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けることがあります。
遺言や生前贈与を上手に活用しよう
感謝の気持ちを「形」にするには、遺言書や生前贈与の活用が有効です。きちんと記録を残すことが大切ですね。
特定の子どもに感謝の気持ちを伝えたい場合、遺言書や生前贈与を使って、明確に意思表示しておくと良いでしょう。トラブルを防ぐためにも、書面で残しておくことが大切です。
まとめ
- 同居や介護を理由に特定の子どもへ多く相続させることは可能
- そのためには遺言書の作成が有効
- 寄与分や遺留分への配慮が必要
- 感情だけでなく法的な根拠を準備しよう
親と暮らし、支えてきた子どもに報いたいという気持ちは自然なものです。制度を正しく活用し、円満な相続を目指しましょう。
お困りの際は、私たち専門家へ相談を。
