相続税の調査でよく指摘されるのが「名義預金」です。
名義は配偶者や子どもになっていても、実質的には被相続人が管理していた場合、相続財産として課税される可能性があります。
今回は、名義預金の定義やリスク、対策について解説します。
名義預金とは?

たけし
子ども名義の口座でも、お父さんが使ってたら相続の対象になるの?

さとみさん
はい。名義は誰でも、実質的に亡くなった方のお金であれば、相続税の対象になります。
名義預金とは、名義上は家族や親族でも、実際には被相続人が管理・運用していた預金のことです。
たとえば、子ども名義の通帳に毎年親が入金していて、子ども自身がその存在を知らなかった場合などが該当します。
名義預金の典型的な例

たけし
どんなケースが名義預金って言われるの?

さとみさん
たとえば、親が孫名義の口座に毎年入金していて、通帳も印鑑も親が管理していた場合などです。
名義預金とされやすいのは次のようなパターンです:
- 子や孫名義の口座だが、管理・通帳・印鑑は親が所持
- 入金元がすべて親の口座
- 贈与契約書がない、または贈与の意思が明確でない
- 受け取った側がその口座の存在を知らない
税務署はどうやって見抜くの?

たけし
そんなの、どうやってバレるの?

さとみさん
税務署は通帳の動きや過去の振込履歴をしっかりチェックします。金融機関から情報提供もありますよ。
税務調査では、相続開始前の数年分の通帳の動きが調査されます。
贈与としての手続き(贈与契約書、申告など)がなければ、形式だけ家族名義にしても、実質的に被相続人の財産とされてしまいます。
名義預金を防ぐためには?

ふじはらさん
贈与契約書を作る、印鑑と通帳は本人が管理する、など「実質的な移転」がポイントです。
名義預金を防ぐには以下のような対策が有効です:
- 毎年、贈与契約書を交わす
- 贈与税の申告を行う(少額でも)
- 通帳・印鑑・キャッシュカードを本人に渡して管理させる
- 贈与の趣旨を家族で共有しておく
まとめ
- 名義が家族でも、実質は被相続人の財産なら相続税の対象に
- 贈与契約の有無、資金の管理実態が重視される
- 形式だけの名義変更では意味がない
- 贈与や管理の実態をきちんと残すことが大切
「名義預金だった」と判断されてしまうと、予定外の相続税が課税される可能性があります。
生前からの対策と記録が大切です。ご不安な方は、私たち専門家へ相談を。