親の介護を一番近くで支えてくれたのは「息子の嫁」だった──。
そんなご家庭では、いざ相続となったとき、「お嫁さんにも何か報いてあげたい」と思う方も多いでしょう。
しかし、法律上「嫁」は相続人ではありません。
そんな中、2019年の法改正で生まれた「特別寄与料」という制度が注目されています。
相続人じゃなくても報われる「特別寄与料」とは?

たけし
嫁は相続人じゃないので、介護してくれたのに何もないの?

さとみさん
「特別寄与料」という制度ができて、相続人以外でも一定の条件で金銭を請求できるようになりました。
2019年の民法改正で創設された「特別寄与制度」により、被相続人に特別な貢献をした相続人以外の親族が、相続人に対して金銭の請求ができるようになりました。
対象となる人・行為とは?

たけし
お嫁さんや娘婿でも、請求できるの?

さとみさん
はい。民法上の相続人ではない「親族」であれば、特別寄与料を請求できます。
対象となるのは以下のような人たちです:
- 息子の妻(嫁)
- 娘の夫(婿)
- 同居の親族など
条件は、無償で療養看護や財産維持に貢献したことです。たとえば:
- 食事や排せつ、入浴などの日常介護
- 通院の付き添いや生活費の援助
- 家計の助けになるような労働の提供
特別寄与料は誰に請求するの?

ふじはらさん
特別寄与料は、相続人に対して請求します。協議で決まらなければ家庭裁判所に申立もできます。
特別寄与料は、遺産から直接もらうものではなく、相続人に対して請求する仕組みです。
相続人全体で話し合い(遺産分割協議)により合意すればよいのですが、まとまらない場合は家庭裁判所に「特別寄与料の請求申立て」を行うことも可能です。
制度を活用するためのポイント
この制度を活用するには、以下の点が重要です:
- 貢献内容を証明する記録(介護記録・医療明細など)を残しておく
- 亡くなったことを知った日から6か月以内に請求する(または相続開始から1年以内)
- できるだけ事前に家族と認識を共有しておく
まとめ
- 「息子の嫁」など相続人でない人でも、介護などで貢献した場合に報われる制度がある
- 2019年からスタートした「特別寄与料」は、感謝の気持ちを法的に形にできる
- 記録と期限が大事。専門家のサポートを受けながら進めましょう
相続人ではないからといって、何も評価されないのは不公平。
「特別寄与制度」を知っていれば、そんな思いを少しでも和らげることができるかもしれません。
ご家族や親族の介護・貢献について気になることがあれば、私たち専門家へ相談を。